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2010年10月14日木曜日

日本人にとって英語の発音・リスニングが難しい理由が解明される?

最近「理研ら、日本人が英語の発音や聞き分けが苦手な原因の一端を解明」というニュースを読みました。
理研とフランス国立科学研究センターの共同研究によって、日本語のネイティブスピーカーがどのように日本語の発音を習得していくか、そしてそれがどのように日本語ネイティブスピーカーの英語の発音や聞き取りに影響を及ぼしているかが分かったそうです。

理化学研究所(理研)とフランス国立科学研究センター(CNRS)の共同研究チームは10月12日、日本人は生後14カ月までに「abna」のような子音の連続が含まれる単語と「abuna」のような子音連続が含まれない単語の音を区別して聞き取れなくなっていることを発見したことを明らかにした。
理研ら、日本人が英語の発音や聞き分けが苦手な原因の一端を解明

記事によれば、日本人にとって英語が発音しづらかったり聞き取りにくかったりするのは、日本語と英語との音韻体系の違いによるものだということです。日本語には英語のように子音の連続や子音で終わる単語がなく、母音のみか子音+母音で発音する単語しかないので、日本語のネイティブスピーカーは英語を聞くときにも母音を挿入してしまう「修復」が行われます。それが英語を聞き取りにくい原因なのだそうです。

では、日本人はいつごろからそのように子音の連続を聞き取れなくなっていくのでしょうか。
記事では以下のように説明しています。

今回、研究グループは、生後約8カ月と生後約14カ月の日本人の乳幼児とフランス人の乳幼児各24人(合計96人)に連続した子音が含まれる単語と母音を挿入した単語を聞かせ、乳幼児が弁別して聞いているかどうかを調べる実験を行った。

その結果、生後8カ月では、どちらの乳幼児も弁別ができていたにもかかわらず、生後14カ月になると日本人の乳幼児だけが弁別できなくなっていることが判明した。これまで修復は、たくさんの語い(彙)を獲得したり、文字を学んだりした結果起こるものだと考えられていたが、今回の実験により、修復が、実は語彙も数少なく文字も知らない乳幼児期からすでに始まっていることが判明。これは、個別の母音や子音だけでなく、音の並びの規則(音韻体系)についても乳幼児期からすでに獲得が進んでいることを示す重要な発見で、日本人が外国語の音をうまく聞き分けられない原因の解明にもつながる成果と研究チームでは説明する。

うーん、考えさせられますね。
よく日本人が英語の発音が下手なのは「カタカナ」のせいだ! と言われますが、もしこの記事の通りならば、文字を学ぶ前、カタカナを学ぶよりずーっと前から子音の連続が聞き取れなかった、ということになります。

とはいっても、生後14ヶ月まで戻れるわけでもないので、発音やリスニングをある程度できるレベルまでもっていくには、この「日本語耳」をどう使って英語を聞き取っていくか、を考えなくてはなりませんね。
私は発音については、口や舌の動かし方、アクセントを学べばある程度は改善できるんじゃないかなーと楽観的に考えています。自分ではrとlの聞き分けができなくても、それぞれの舌の位置を正しく置いて発音すれば、ネイティブには聞き取ってもらうことができるように。
問題はリスニングですね。これはもうなるべく語彙を増やして文脈で判断するしかないのかな・・・。

若干落ち込んでしまいましたが、記事の最後にはしっかりとこんなことも書いてありました。

なお、日本人の乳幼児が日本語の音韻体系をどのように獲得していくのかを調べていく過程で、英語のどのような特性が日本人にとっての英語の習得に特に困難になるのかが分かれば、その特性を克服するためにはどのような教え方をすれば良いのかが分かるようになるため、今回の成果は、今後開始される小学校での英語教育にも参考になる知見と研究チームでは説明している。

「日本人だからどうせ無理」ではなく、苦手な部分をどう補っていくか。この研究が日本人への英語教育に活かされていくことを期待しています。

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